茉麻は、頑なに行こうとしない。
「そっかー。菜々子はどうする?」
「私も茉麻と近くのコンビニとかで待ってようかな」
「えー、菜々子も行かないのー。
茉麻、どうしてもダメ?」
結は、子犬のようなつぶらな瞳で見つめてきた。
「わかったよ。でも絶対見るだけだからね。
「やった!ありがとう」
結はニコニコしながら喜んだ。
「じゃあ、みんなで行かない?人数多い方が
盛り上がると思うし」
圭吾が提案すると全員賛成し、6人は旧校舎に
向かった。
高校から旧校舎までは、徒歩10分圏内にある。
9月中旬で、まだまだ暑い日が続いているせいで
少し歩いただけで汗だくだ。
「暑すぎる。自動販売機でジュース買えば
良かった」
結は小型扇風機で涼みながらぐちぐち言った。
「もう見えてるし、ここら辺で良くない?」
茉麻は、結ぶに言った。
「えー」
「えー、じゃないでしょ。約束は約束。」
「そうだけどさぁ……?」
「ん?どうしたの結」
「旧校舎の扉が空いてる。」