私しか、知らないで…


「ねぇ、先生
先生、ラーメンと牛丼どっちが好き?」



放課後
餌付けをしながら先生に聞いた



「なに?急に…
どっちも好きじゃない」



「えー、なんで?」



「どっちも身体に良くなさそうじゃん」



「そっか…
私は、どっちも好き」



聞かれてないのに自分で言った


別にどっちでもいいよね



「最近、朝倉と帰んないの?」



先生が外を見ながら聞いてきた



「うん、別に…」



いつも一緒に帰ってたわけじゃない

そう言おうとした



先生の視線の先には

一緒に校門を出る北翔と井上さんがいた



「今日、仕事頼んでもいいかな?
コレ、明日使う資料なんだけど
ホチキスしてくれるか?」



先生に頼まれて窓際に座って作業した



カチカチ…カチカチ…



後ろから先生がパソコンを触る音がする



パチン…パチン…



「北翔、井上さんと付き合ってるのかな…」



どーでもいいことだけど

口に出た



パチン…パチン…



「もしかして、取られた?」



私のひとりごとに先生が問いかけた



「取られたとか…
北翔は私のじゃないし…」



「呑気にしてると取られるって
オレ忠告しなかった?」



「だから!取られてない!」



ムキになってしまった



呑気に笑ってると、取られるぞ



ホントに取られたくないのは…



「先生のことは…取られたくない」



「…ん?」



パソコンの音が止まった



「ヤダ…
誰かに取られたら…

自分のものにできなくても
誰かに取られるのは、ヤダ…」



それが例え男子でも

先生は取られたくない



「先生、私じゃ、ダメですか…?」



窓の外を見ながら

後ろにいる先生に話し掛けた



私の声が

窓に当たって先生に届く



「ダメって何が?」



先生の声も

私の方に向いてなかった



パソコンに当たって

私に響く



「んーん…なんでもありません」



どんな答えが欲しいのか

自分でもよくわからなかった