私しか、知らないで…


「失礼します」



声の方を見たら北翔だった



「花澤やっぱりここにいた」



「なに?私になんか用だった?」



「いや…
昨日話してた魚見たかったし…」



北翔が水槽に目を移した



私が勝手に北翔に話したみたいで嫌だった

先生嫌じゃないかな?



「朝倉、魚好きなのか?」



先生は意外と嬉しそうだった



「好きではないですけど…」



「そっか…」



先生、残念そう…



「北翔、見てよ!
キラキラしてて綺麗なんだよ」



北翔に水槽を見せた

私のじゃないのに…



少しでも北翔が興味持ってくれたら
先生も嬉しいかな…って



私、なんで先生のこと気にしてるんだろ



北翔とふたりで水槽を覗いた



「若いっていいね…」



後ろから先生の声がした



「え?」



「若いって楽しそうだな

オマエらは魚なんか見てないで
ハイハイ…ふたりでデートでもしてな…」



先生が私たちを追い出そうとした



「別に私たち、そんなんじゃ…」



「ふたりは、付き合ってんじゃないの?」



「付き合ってねーし!」



北翔も否定した



「なんだ、違うのか…
オレは、
あんまり人間に好意を持つことないから
そーゆーのよくわかんないんだよね」



先生
高校生の時
彼女とかいなかったのかな?


いなそうだね
ちょっと変わってるし…



「花澤、ありがと…
今日も栄養取れた」



お弁当箱を先生が返してきた



「え、なに?
オマエ、先生の弁当作ってんの?」



「んー…」



「オレがサプリで栄養取ってるって言ったら
作ってくれたんだよ
あ、ごめん
朝倉も作ってもらいたいとか?
花澤、オレはいいから朝倉に作ってやれよ」



「別に、そんなこと言ってねーし!」



北翔も私も
なぜか照れた



私たちを見て先生が笑った



「今日も好きなの食べていいよ
朝倉もよかったら食べて…」



私は引き出しを開けて
チョコパイを選んだ



「あ、オレもそれがいい」



「コレ、1個しかないもん」



私が半分かじったチョコパイを
北翔がかじった



「ちょっと…」



また先生が笑った



「なんですか?」



「ん?
オマエら見てると小説読んでるより
面白いな…って」



よくわからないけどバカにされてる



「帰ります」



「うん、明日からは弁当いいから…
受験生だし
花澤の負担になると悪いから
今までありがと
自分の健康管理ちゃんとしろよ!」



先生は
私の心配をしてくれる