私しか、知らないで…


「おじゃまします」



「フフ…なんか、よそよそしいね
どーぞ…
ごめんね、片付いてないのに…

ペットボトルのお茶しかないけどいい?
えっと、マグカップ…」



紫苑がダンボールの中を探した



「あ、いいよ
オレ、飲み物買って来たから…」



「よかった
適当に座ってね
って、言っても座る場所もないか…」



紫苑が重そうなダンボールを退けようとした



「あ、オレやるよ」



オレはスペースを作ってそこに座った



部屋を見渡した



ここでキスした



好きな人と…



初めてできた好きな人

その人との思い出の場所



その人と今一緒に

同じ場所にいる



不思議な気持ちになった



なのにあの時とは

別の場所みたい



なんの面影もない