私しか、知らないで…


ドン…



後ろから衝撃を受けた



「痛…」



「あ、よかった、やっぱり亜南くん」



「ビックリしたー…」



紫苑だった



「違ったらどぉしよって思った
その猫背、身長10cmぐらい損してるよ!」



「なんで?なんで、紫苑ここにいるの?」



「え、ここに住んでるから…

亜南こそ、なんで?
そんなとこで突っ立て
変質者と間違われて通報されるよ」



「住んでるって…ここに?
また住んでるの?」



「うん
大家さんに聞いたら空いてるって言われてね
でも1年で取り壊し決まってるんだって
来年の春には壊されちゃう
それでもよかったら…って」



「へー…」



「亜南は?
そんな格好で歩いてるって近所なの?」



オレのスウェット姿を見て紫苑が言った



「あー、今コンビニ行って来た
大学時代のアパートにまだ住んでる」



「ウソ?ずっとあそこにいるの?」



「うん」



いいマンションにも住めないし
相変わらず猫背みたいだし
オレは何も変わってない



「何買って来たの?
夕飯?うちで食べてく?
まだ引っ越してきたばっかりだから
片付いてないけどね
アレ?自転車?
その自転車もあの時のじゃん!
高校の時の自転車ってスゴイね」



「うん
パンク2回なおしたけどね」



「アハハ…亜南ぽい
あの時の亜南思い出すな
暑い中、自転車でファミレスに来てくれた」



オレも憶えてるよ