私しか、知らないで…


「亜南は?幸せに暮らしてた?」



「うん…それなりに…」



「ほー…
彼女は?」



「今は、いない」



「今は…って言い方…アハハハ…」



オレの言葉に紫苑が笑った



「しばらく、いない」



言い直した



「でも、いたんだ」



「うん…」



あの時

紫苑を彼女にできなかったのは

勝手が分からなかっただけで

紫苑のこと好きじゃなかったとか

紫苑より好きな子がいたとか

そーゆーことじゃなくて…



頭の中で言い訳が飛び交った



今更言っても仕方ないから

言わなかった



「へー…
今、好きな人いる?」



「好きな人…

んー…」



「あ、いるな!それは!」



オレを覗き込んで紫苑が言った



「うん、いたかも…」



「あー…意味深!
まさか、生徒?
生徒と付き合ってたことあるとか?」



「それは気を付けてるから大丈夫」



「へー…気を付けてるから、ね…」



「意識して気を張ってないと
なんか、巻き込まれそうになる
アイツらのパワーって…
若いってスゴイよね」



「ふーん…プロ意識だね!亜南先生!
けど、
卒業生とは付き合ってもいいわけだよね
よくドラマとか少女漫画にあるよね」



「ドラマも少女漫画も見ないから
わからないけど

ホントは、そぉなってたかも…」



「え!!!なに?それ?
楽しそう!!!」



「今日、サヨナラした」



「え、付き合ってたの?
それとも、フラれたの?」



「どっちでもないかな…
付き合ってもないし
フラれてもない

始まってもなくて
始まる前に
今日、終わった」