私しか、知らないで…


ドン…



「スミマセン、大丈夫…」



「…大丈夫…
…じゃないです
コーヒー溢しちゃった」



帰りに寄ったコンビニで

女性とぶつかった



え…



紫苑だった



「ごめん…
火傷しなかった?」



「うん、アイスだし、コレ…」



紫苑がカップをふって氷をカラカラ鳴らした



「元気、だった?」



ポケットから出したハンカチを差し出した



「うん…
あ、ありがと…

ハンカチ、シミになっちゃう」



「いいよ、別に…

あ、オレのこと、覚えてる?
オレ、あの…」



「えっと…誰だっけ?
フフフ…」



変わらない笑い方



「藤森亜南くん」



「あ、覚えてた
よかった…」



「うん…
だって変わらないもん
自信なさそうな喋り方
猫背だし…
スーツってことは仕事の帰りだった?
自転車?フフフ…」



相変わらず子供扱い