理科準備室に戻った
まだ新田さん達いるかな?
準備室のドアの前に立ったら静かだった
「失礼します」
アレ?先生いない
「ん?花澤?
どーした?」
窓際の水槽の方から先生の声がした
「あ、先生
進路調査、私ちゃんと数えてなくて
たぶんコレでみんな揃いました」
「ごめん
オレもまだチェックしてなかった」
「先生、何してるんですか?」
「ん?水槽の掃除
あ、花澤ちょっと代わってくれる?
エサあげて…
進路調査チェックするから…」
「はい…」
先生に近付いたら
香水の甘い匂いがした
新田さん達の匂い
「コレ…このくらいの量あげて
あっちの水槽もお願い
…
花澤は昼食べた?」
「はい、食べました
先生は?」
「オレは好き嫌い結構あるから
だいたいゼリーとサプリメント」
「へー…それでちゃんと栄養取れるんだ」
「貧血でもないし
身長も一応180あるけど…」
プリントをチェックしながら先生が言った
いつも猫背で痩せてるから
180もあるようには見えない
ホントに栄養取れてる?
「あ、花澤、甘いの好き?」
「甘いの?」
「チョコとかアメとか…
あと何?この丸いの…」
先生がデスクの引き出しを開けて見せた
「あ、それ…マカロン
私、好きです」
「じゃ、あげる
好きなの食べて
エサあげてくれたご褒美」
「先生、食べないんですか?」
「甘いの、苦手…
アイツらがいつも持ってくるんだ」
新田さん達か
「じゃあ、ハッキリ言えばいいのに…」
「人の好意は受け取った方が
相手を傷付けないだろ
オレがもらったんだから
誰にあげようと自由だし…
捨てるよりはいいだろ」
「じゃあ、せっかくなので
先生の御好意、受け取ります」
「あ、けど、ここで食べて!
アイツらに見つかったら
なんか悪いから…」
そこは気にするんだ



