私しか、知らないで…


「よかったね
亜南、春から大学生だね!」



「うん…」



「アレ…?嬉しくないの?」



「いや…

あのさ、野菜炒めの作り方、教えてよ
あと、洗濯って白いのと色物わけるの?
アパートどこがいいかな?
住むなら、どんなアパートがいいかな?
オススメとかある?」



「亜南

アパートにも水槽2個置くの?
熱帯魚、一緒に選ぼうよ」



「え…、うん…」



必死だった

また紫苑に会うための理由

ただ会いたいって言える仲でもないから



熱帯魚、一緒に選ぼうよ


紫苑のひとことで

また会ってくれるんだって
酷く安心した



「水槽置ける少し広めのアパートがいいな」



「大学生の身分で贅沢だね」



「バイトするって言ったじゃん!」



「そーだったね…」



「水槽運びやすいように1階がいいな」



「亜南の頭の中は魚のことばっかりだね」



そんなことない



紫苑と目が合って

紫苑がオレの頬を両手で包んだ



紫苑しか見えなくなる



紫苑に出会ってから
紫苑を考える時間がオレの中で大半を占めた



熱帯魚、一緒に選ぼうよ

そう言われるまで
そのことは忘れてた



ーーー



ゆっくり紫苑の唇が

オレの唇に触れた



「亜南…」



「…ん?」



大学合格のご褒美?



「好き…

亜南…好きだよ」



「林檎より?」



「ん?りんご?なにそれ…」



笑った紫苑がかわいかった



ーーー


ーーー


ーーー



キスで返したら

キスで返ってきて

またキスで返した