オレにしか、触らせるな!


棒くんの部屋は
大きなスピーカーが置いてあった



棒くん

大丈夫なのかな?


私のこと

もぉ大丈夫?



棒くんから離れて座った



「いいスピーカーだね
棒くん、ホントに音楽好きなんだね」



「うん、でもいつもは
スマホとかヘッドフォンして聴いてるよ」



棒くんがAKARIのCDを流してくれた



クラーが少しずつ効いてきた部屋で

それぞれがコンビニで買った

ペットボトルを口にした



「AKARIの曲、歌詞がいいよね!
わかりやすくて真っ直ぐ伝わってくる」



「うん、オレもそぉ思う」



「でも恋の歌は
私にはやっぱりよくわかんないの
きっと、経験がないからかな…」



「うん…オレもよくわかんない…」



なんか、暗くなっちゃった



「あ!知ってた?
負け犬の遠吠えのボーカルとベースって
付き合ってるんだって!」



「え?
それ、もしかして傑から聞いた?」



「うん、なんでわかったの?」



「オレにも言ってたから…

信じたの?」



「うん…」



「…嘘だよ」



棒くんが笑った



「え…」



笑ってる棒くんを見たら

私も笑いたくなって

一緒に笑った



「アイツ冗談ばっかりだから
真に受けない方がいいよ」



「ん?じゃあ…
中学の時、棒くんと傑くんが二股って…」



「それは…冗談じゃなくて…
真面目な話

オレが付き合ってた人
傑とも付き合ってた」



「え…あ…
…ごめん…聞かれたくなかったよね!」



「なんで永野さんが謝るの?」



「思い出したくなかったかな…って」



「大丈夫
ホントのことだし…

聞かれたくないことなんて
別にないよ」



棒くん機嫌よさそうだったから

つい聞いちゃった



「じゃあさ…
じゃあ、もうひとつ聞いてもいい?」



「ん?なに?

でも、ひとつだけ
聞かれても答えられないことある

それ以外なら大丈夫」



え、やっぱり…


それは…


きっと…



「じゃあ、答えたくなかったら
答えなくていいからね」



「うん…
なんか、スゲー緊張するけど…
なに?早く!」



「あの…

えっと…

棒くん、今、好きな人いる?」



「好きな人?」



「あ、うん!
なんていうか…
私はよくわかんないけど
恋愛感情の好きな人ね!
友達とかじゃなくて…」



「なんで、そんなこと聞くの?」



棒くんの表情が緊張したのがわかった



「ん、特に意味はないんだけど…
もしかして…って思って…」



「…いるよ…」



棒くんの声は真剣だった



やっぱり…



「棒くんの好きな人って…誰?」



「それは…さっき言ったけど…
答えられない質問」



やっぱり…



でも人に話して自分でも認めたら

楽になるかもしれないよ



傑くんといる棒くんは

いつも辛そうだもん



「えっと…
答えたくなければ、いんだけど…

棒くんの好きな人って…
す、傑くんじゃない?」



「…」



沈黙



また調子乗りました

スミマセン



また嫌われる?