オレにしか、触らせるな!


「棒くんは?」



「…ん?」



「まだ、女の人、怖いよね?

ごめんね…
さっきも無理矢理パフェ食べさせようとして
嫌だったよね?

カラオケも誘ったりしてさ
ホントは私と来たくなかったよね」



「…」



棒くんの気持ち

考えてなかった



「棒くん、ごめんね…」



え…



棒くんに手を握られた



棒くんだよね?



棒くんを見たけど

目は合わなかった



棒くん

私は傑くんじゃないよ!

間違ってない?



「あの…
棒くん?

大丈夫、なの?

怖くない?」



「…うん…

永野さんだから、大丈夫…」



そっか…

だよね

私、女子にカウントされてないんだった



「うん…それなら、よかった…」



「永野さんは…
嫌、じゃない?」



「え…
うん…別に…」



「傑に手握られた時は?
嫌じゃなかった?
嬉しかった?」



「握られたっていうか、あの時は…
ただバッティングの仕方教えてもらって…」



棒くんと急に目が合った



ドキン…



なに?

今の音



「ごめん…
オレ、ドキドキする」



「え…?
あ、そーだよね…

まだ完全に克服してないのかもね!

無理することないよ!
棒くんのペースで女の人と関わっていけば…」



棒くんが急に近くなった



ドキン…



目の前が全部

棒くんになった



棒くん

どーしたの?



急に

近すぎない?



「永野さん、オレ…」



ドキン…



「うん…」



ねぇ棒くん

私、息が止まりそう



「永野さん…」