オレにしか、触らせるな!


ライブが終わって外に出た



もぉとっくに夏の夜じゃなかった

セミの代わりに秋の虫が鳴いてた



「あー…楽しかったな!
5曲目がサイコーだったな」



「5曲目って…
AKARIには珍しい恋の歌だったよね?
永野さん、そーゆーのわかんないって
前に言ってたよね」



「うん、まだわかんないけど…

ずっと、ドキドキしてる…」



「ライブの後って興奮してるからね…

この感覚、いいよね」



「恋も、同じ?」



「え?」



「ずっとドキドキしてるのは
ライブのせいなのかな?

それとも
棒くんが、手を繋いでくれてるから…?」



ドキドキ…

ドキドキ…



うん

オレは

たぶん

そっち



「そんなこと聞かれると…困る」



しかも

最初に繋いだのはオレだけど…

永野さんは

その後ずっとオレの手を離さなかった



かわいすぎて

ライブ中

失神しかけた



「ん?
私もそんなこと言われたら困るな…

棒くんは
なんで困ってるの?」



「ん?

永野さんが…かわいくて…」



永野さんを見たら

目が合った



ドキン…



どっちの手かな?

熱くなったのは