オレにしか、触らせるな!


「教室だと、みんながウルサイから
ここで食べよ!」



5階の1番奥の美術室



「いいの?
オレと一緒で…」



「うん
一緒に食べよ!
付き合ってる人は
みんな一緒に食べてるでしょ!

あ、美味しいかは、わかんない
あと、気まぐれだから
明日からは、もぉ作んないかも…

作らなかった日は
棒くんのパン、わけてね!」



「うん、ありがと…」



永野さんがオレの顔をジッと見た



ドキン…



「な、なに?」



「棒くん、メガネ…

メガネ、外そ!」



そう言って

永野さんはオレの伊達メガネを取った



レンズのない世界で

永野さんと目が合った



ドキン…



近くて、触れそう



「見える?」



「うん…見えるよ…
視力、悪いわけじゃないし…」



見え過ぎるぐらい

永野さんが近くにいる



ドキドキ…

ドキドキ…

ドキドキ…



「うん!本物の棒くん!」



美術室に永野さんの笑い声が響いた



「読みたくない本も
無理に読まなくていんだよ!
一緒に好きな音楽聴こうよ!」



「うん…」



1学期と違う学校に来たみたいだった