「おいしいね」
「うん!
傑くんの
パスタの茹で加減がよかったのかもね」
「かもね…」
「男の人に手料理振る舞ったの
これで2回目かも…」
「それって、1回目もオレじゃない?」
「かもね…」
渉香がまた笑った
渉香の味付けは
ほんのり甘くて
オレの好きな味付けだった
「彼氏に作ってもらったことはあるよ」
「へー…」
「フランス料理店のオーナーだったの」
「へー…」
「いつも美味しいものばかり食べてる人で
連れて行ってくれるお店も素敵でね
私の手料理なんて食べたくないかな…って
恥ずかしくて出せなかった」
「へー…
…
おいしいよ」
「うん、おいしいね…
…
ふたりで一緒に作ったから
おいしくできたのかな?
…
それともふたりで食べてるからかな?」
「うん…そーかもね…」
「傑くんは?
傑くんは、どんな人と付き合ってたの?」
「…ん?…オレ?
…
憶えてない
…
ごちそうさま」
なんだろう
話したくなかった
オレがどんな子と付き合ってたって
渉香には関係ないし
渉香がどんな人と付き合ってたのかなんて
知りたくもなかった



