「ちょうどいい時間の電車あるから
私、帰るね…」
え…
渉香はもぉオレを掴まなかった
「あ、そーだね…
そこ曲がったら駅だしね…」
「うん…バイバイ…傑くん…」
「うん…気をつけて…」
「うん…
傑くん
仕事、頑張ってね!」
バイバイ、傑くん
部活、頑張ってね!
放課後キスした後
渉香はいつも寂しそうに言った
今も…
もしかしたら
もぉ、会えない?
また来てもいい?って
今日は言わないの?
「傑くんも、気を付けてね…」
「うん…」
渉香は
オレに追い付かないまま
オレに背を向けた
追い付いてもう一度掴まってくれたら
オレ
抱きしめてたかも…



