オレにしか、触らせるな!


結局一緒に飲んでる



プシュ…



渉香が2本目の酎ハイを開けた



この辺で一応謝っとこ



「この前は、ごめん」



「なにが?」



「なにが…」



「一緒にご飯食べなかったこと?」



「いや…」



「私の名前、覚えてなかったこと?」



「いや…」



「でも、さっき呼んでくれたね!
嬉しかった」



呼んだっけ?

無意識



「いや…あの…」



「キス、してくれなかったこと?」



「いや…」



渉香にとって

流れであーなったことより


もしかしたら


キスしなかったことの方が

傷付いたのかも…



キスのない交わり

愛も

気持ちもない



なかった?



「オレ、結婚式で結構飲んでてさ
だいぶ酔ってたのかも…
だから…」



「だから?」



「忘れて…」



「私は酔ってなかったよ

だから…忘れられない…」



だよね…



「ホント、ごめん、ね…」



「謝られる方が、傷付くよ

謝ってほしいから今日来たんじゃないもん」



「なんで…来たの?」



「なんでかな…


傑くんが忘れてほしかったら
今日、酔って忘れるね」



そう言って渉香は

2本目の酎ハイを一気に飲んだ