渉香の指がオレから離れた
「帰るね…」
渉香はオレの横で乱れた服を直した
「シャワーしてけば?」
天井を見たまま渉香に言った
「大丈夫…」
渉香の声が少し寂しそうに聞こえた
さっき言ったことを少し後悔した
本当のことだけど
渉香を傷付けたかな…
アホか…オレ
渉香に同情することなんてないのに
「渉香…好きだった…」
「…過去形なんだね…」
「…うん…」
「…当たり前か…」
あの時のオレは
まだ子供だったけど
今よりもずっと
純粋だった
今の方がずっと
バカで
くだらない
サイテーな人間
いつの間にか
こんな大人になったんだ
オレ



