オレにしか、触らせるな!


次の停留所で

棒くんと一緒に降りた



「あーぁ…」



「大丈夫?
ごめん、話し掛けなきゃよかったね」



「大丈夫!
前のバス停とこのバス停の間だから
歩く距離はそんなに変わんない」



「…」



傘の中を覗き混んだけど

やっぱり目が合わない



傘をさして水溜りを避けて歩いた



棒くんも同じ方向



もしかして近いのかな?



「棒くんの家もこっちなの?」



あ、聞こえないかな?

微妙に離れてるし



「うん、最近引っ越してきた」



聞こえた


親離婚したって誰か言ってたな…



「もしかして、近いかもね!」



「…」



無視?

聞こえなかった?



「棒くんて、いつも何読んでるの?」



棒くんに少し近付いて聞いた



「なにが?」



今度は、聞こえてる


でも、また離れた



「いつもひとりで読書してるから…
そんなに面白い本なのかな?って」



私は

ひとりごとみたいに言った



「別に、面白くなんかないよ
ホントは本なんか読みたくないし…」



あ、返ってきた



「じゃあ、なんで…?」



「別に、いいじゃん…

キミこそ
男性恐怖症じゃないの?

なんで、オレに話しかけるの?」



「え…なんでわかるの?

別にいいじゃん…」



「…」



十字路で棒くんが黙って右に曲がって行った

そっちなんだ…



挨拶ぐらいしてくれてもいいじゃん

ベー!!!



でも

私の名前と

私が降りるバス停知ってた

雨の日だけバスに乗るのも



それから

男性恐怖症も



返事が返ってきた時

嬉しかったな…



棒くんがいなくなった道で

ひとり空を見た



棒くんも

きっといろいろある人なのかな?



灰色の空が少しだけ明るくなってきて

明日は晴れる気がした



でも晴れたら

棒くんと話せないな…