オレにしか、触らせるな!


あ…

棒くん



伸びた前髪がメガネに掛かって

鬱陶しそうだった



いいな…

髪の毛サラサラ



私がバスに乗る日はだいたい乗ってる

棒くんは毎日乗ってるのかな?



バス停に着くたび

人に押されていつの間にか

棒くんの隣にいた



「どーも…」



軽く会釈してみた



「…」



無視?

それとも聞こえなかった?

それとも私が誰かわかんない?

同じクラスなのに…



次のバス停でもっと押されて

棒くんにくっついた



棒くんがわざとらしいぐらい

私を避けた



そんなバイキン扱いみたいに避けなくても…

カンジ悪!



「…大丈夫?」



え…



隣の棒くんから聞こえてきた



声の方を見たけど

棒くんは私を見てなかった



気のせいかな?



あ…!



赤信号でバスがブレーキをかけて

バランスを崩した



棒くんにめちゃくちゃ寄り掛かった



「ごめんなさい…」



「大丈夫…?」



さっきと同じ声

やっぱり棒くん



サラサラの前髪が

少しだけ揺れた



でも目は合わない



「ごめん!足、踏んだ」



「オレは、大丈夫だけど…」



目が合わないのに

棒くんから聞こえる声



そしてまた

あからさまに私から離れた



なに?

私、臭い??

変な臭いとかしてる???



でも今

会話したよね?

私たち