キミと同じ世界



そのトーク画面を開いて、慌てて私もキーボードをスライドする。


《 ミズキ:あと1駅だよ。ちょっと待ってて〜 》



時刻は8:07。

既読3が一瞬でつく。


ほっと胸を撫で下ろし、外の景色へと視線を移す。

今日からまた、“ 幸せな世界 ” を作らなきゃ。



窓から覗く空は、どんよりとした空模様で、太陽が少し隠れている。

こんな日くらいは、晴れてほしいものだ。



『立花高校前、立花高校前、ドアが開きます。お降りの際には、、』

パッと立ち上がり、2時間座り込んだ重たい脚を動かす。


最初の頃は苦痛だったが、今となれば慣れたものだ。

座り疲れも感じなくなった。



黒の制服の団体の中で、揃って動き出す。


改札を抜けて、駅の中央にある銅像の前まで小走り。


見慣れた3人の女子高生の姿が見え、さらに歩幅を大きくする。



毎朝30分ほど掛けて巻いているという、自慢のウェーブ髪とクリクリお目目のエリ。

4人の中では一番身長が高く、明るい茶髪でショートカットの女の子がマナミ。

そのマナミに体を預け、無理やり立たされている、ボブくらいの黒髪で、小動物みたいな子がノッチ。

ノッチは未だに眠いようだ。



「あ、ミズキ〜!」


その3人に向かう私に気づいたエリが、ブンブンと私に手を振る。

私も手を振って、3人の元に到着する。