そんな私の思いも虚しく、気づいたら担任が教室を出て行っていた。
ガヤガヤと騒ぎ立つ教室。
もちろん、中心は転入生だ。
はあー、と溜息を吐く。
「ミズキーっ!」
そんな中、私の耳に届いたのは、私を呼ぶエリの声。
私の席に歩み寄り、顔を覗き込んだ。
「体育館行こッ、、て、大丈夫??
気分悪そうだけど、、」
細く茶色い眉が垂れ下がり、心配そうな表情。
色々考え事してて、ゲッソリしていたんだろう。
マナミとノッチも何事か、と私の元へ歩き始めていた。
「えっ、あ、ちょ、ちょっとトイレ行ってくるから、先行ってて!」
私は慌てて席から立ち上がり、教室の後ろのドアから飛び出た。
こんな表情をしていたら、心の奥が見破られそうで。
トイレに行く振りをして、人気のない階段の壁に背を預け、ずるずると腰を下ろした。
まさか、トウヤに会うなんて、、
しかも、トウヤはあの後また引っ越してしまって、
私がこんなふうに変わった事を知らない。
今の私を見たら不思議に思うだろうし、
昔のノリで絡んできそうだ。
、、またあの時のようなことは繰り返したくない。
あれからひっそりと作り上げてきた世界を、
壊したくないの。
