キミと同じ世界


ていうか、あれはどう見てもトウヤだ。


三年そこらで顔が変わるわけない。


あの頃から整っていたようなものだったし、
当時毎日見ていた顔に自信がある。




だとしたら、やばい。


こんなところで会うなんて、、




シャツの下の背中に、汗がへばりつく。




いやいや、待って。

あれから三年も経っている。



再び、ポンッと私の確信を遮る思考が浮かび上がる。



私だって、気づかないんじゃない?


髪も大分伸びてるし、

トレードマークだった癖毛も毎朝のヘアセットで落ち着かせてる。

さらに20分もかけてメイクもしている。



パッと見て “私” だとわからないように頑張っている。


いや、そもそも覚えていないかも、、




その一縷の望みをかけ、

さっきよりもゆっくりと、顔を上げる。



まだ教壇に立つ彼。


先程よりも早く、パチッ、と視線が重なり合う。



き、気付いてる、、!?




目が合ったそのとき、

私は勢いよく視線をずらし、顔を机に突っ伏した。




もしかして、もしかしなくとも、


私だと気づいてるかもしれない。



ああ、どうしよう。



担任が転入生の席を指定したり、その後今日の予定とか話していたことなんて、


頭には全然入り込まなかった。



ぐるぐると色んな考えが頭を巡って、
とりあえずHRが一生続きますように、なんて願っていた。