———キーンコーンカーンコーン
校舎中に鐘が鳴り響く。
その鐘と同時に、
薄水色のYシャツを腕まくりして、黒のズボンを召した30代半ばの男性が勢いよくドアをスライドした。
今朝の父のように、顎髭を中途半端に伸ばし、服装と顔の清潔さが合っていない。
何故かスリッポンを履いた脚で、教壇に登り、クラス全体を見渡した。
「皆んな、元気だったか?ハハ、先生は沖縄に行って焼けちまったよ、ガハハハ!!」
盛大な笑いに、シーンと静まる空気。
元から黒いから、多分クラスメート全員がその違いに気づいていないのだろう。
だが、そんなクラスの反応なんてお構いなし。
ニカッ、と白い歯が映えるほど微笑んで、
私たちを見て言った。
「良いニュースだ!!
今日から、新しい仲間が増えるぞ!!」
新しい仲間?
クラス全員の頭に、そう疑問が浮かんだに違いない。
「さ、入ってきてくれ」
入り口の向こうにそう言い放ち、自分は教壇から降りた。
すると、古びた白いドアがガラガラ、と音を立てた。
そのドアからヒョコ、と出てきたのは
茶色のブレザーが目立つ制服を着た男性。
180センチ近くあるのだろうか、うちの弟と同じくらいの身長だ。
クラス全員がその人に釘付けになる。
教壇へと視線が動き、大きな男らしい手が黒板を滑る。
