「そうかもね。まあ、何にせよ、やる気がある人がやってくれたらいいわ〜」
マナミは興味がなさそうに、腕を頭の後ろで交差して伸びをした。
マナミはサバサバしていてクール。
しかも、人に無関心な方だ。
さっきのエリの彼氏の名前も、頭からすっかり抜けていることだろう。
ふと、エントランスの中央に設置された壁時計に目を向ける。
針は8:28を示していて、
HRの始まる時間まであと2分。
「みんな、もう30分前だよ!」
慌てて3人に知らせると、ドタバタと靴箱へと移動する。
私も遅れないようについていき、三年生の教室がある三階まで階段を上る。
長い廊下を突き抜け、〈3-A〉と彫られたプレートの教室の前に着く。
まだ鐘は鳴ってなくて、四人で顔を合わせる。
ふうっと息を整えてから、約1ヶ月ぶりの教室のドアを開ける。
1ヶ月経ったからといって、これといって変わっているものは無く、
夏休み前の私たちの席が広がっているだけだった。
「じゃ、後でね」
エリの一声に、皆それぞれの席に着く。
私は教室の奥の席。
窓からグラウンドが見え、前を見れば教室全体が見れて、良い席だ。
できればこのまま、席替えしたくないなあ、と思う。
