意識を逸らすように、私にべったりなエリに問いかける。
「それもあるけど〜、やっぱり淳くんがいるから?」
語尾にテヘッと付きそうなテンションで、おどけて見せた彼女。
淳くんというのは、エリの彼氏。
「は?他校の彼は別れたの?」
エリの発言に目をまん丸くして、声を荒げたのはマナミ。
「あれ、言ってなかったけ?夏休み前に振っちゃったよ。だって、夏休み中留学するとか言うんだよ〜
遠距離なんて耐えられないッ」
何も悪気のない表情で嘆くエリ。
エリはこの可愛らしい見た目のせいか、すごいモテる。
しかし、男は続かない。
まあ、来る者拒まずの体質のせいだと思うんだけど。
「夏休みだけじゃん、、で、次は淳?
どこの人なの?」
マナミは呆れて溜め息を溢し、
でもエリを心配するように尋ねた。
「隣のクラスだよ。柳原淳くん」
「へえ、隣のクラス。知ってる?ミズキ」
「ううん、エリからメッセージきて、名前だけ」
ブンブン、と頭を横に振る。
「だよね。ミズキは男嫌いだもんね」
マナミの言葉に、ハハ、と笑みをこぼす。
うんとも頷かず、首も振らない。
男嫌いなわけではない、
ただ、男子と接点を持たないようにしているだけだ。
高校に入学してから、ずっと意識していたこと。
自分から話しかける事は無いし、
話しかけられても、当たり障りのない言葉を返す。
そんな私の態度に、周りは “ 男嫌い ” なんだと認識した。
昔は、よく男子とも話して、相談事もするような関係になっていたけれど、
いつの間にか、ううん。
あの時から、関わるのが怖くなっていた。
