花火も終盤戦、一瞬たりとも空から目を離せない。
私は動画とか撮らないで目に焼き付けるアナログ派。インスタ映えするものを撮るセンスはないし。


でも今年はこの景色と感動をいいねしあいたい人がいる。


思い出を残しておきたいけれど、そんなもの撮ってたらあっという間にすべてが終わっちゃうんだよね。


花火が打ち上がる度におしゃべりしたい気持ちだってグッと我慢する。


『すごいね!綺麗を通り越して圧巻だね!』

『キラキラが降ってくるのを消える前にどうにか捕まえられないもんかな?』

『なにあの滞空時間長いやつ。初めて見た!』

『夜空に火を打ち上げようなんて誰が考えたのかなぁ?』

『緑に濃いのと淡いの二種類ある!ほら今の』


感想はたくさんあるけれど話す余裕なんかないくらい夜空に吸い込まれてしまう。


だから花火が始まってからずっと翔ちゃんの浴衣の袖に掴まっていた。
一緒に見てるんだ、って実感したくて。