パッと辺りの照明が戻って足元までも明るくなった。これじゃ赤い顔をどうやったって隠せない。


「花火見てるより美緒の顔見てる方が面白かった」

「面白かったって……そこは嘘でも綺麗とか可愛いとか言うべきじゃない?」

「だって口開いてんだもん。ぽかんて、ずっと」

「そんなの見なくていいから花火を見ようよ!」


なんでいきなりキス?
面白い顔に普通キスしたくなる?
なんて恥ずかしくて聞けない。


その代わりに憎まれ口を叩いてしまうのは
私の悪い癖だなぁ。


「花火大会に彼女と来て、花火見る男なんかいんの?」

翔ちゃんの言ってることは時々意味がわからない。

「逆に花火大会で花火以外に何を見るわけ?」

「……花火を見てる好きなコの横顔でしょ」


胸キュンの弾丸が、ハートを貫通してった。


「ずっと美緒に見とれてたんだけど、それじゃダメ?」

「いや、ダメじゃないけど……」

「はい言い返せない。俺の勝ちー!」

「いや勝ち負けじゃないから!」


ハートからの出血がひどくて、もう立ち上がれそうに……ない。


論破され黙りこむしかできない。
ドキドキしてるのは、いつも私ばっかり。