待ちわびた花火大会の日が来た。
二人とも浴衣コーデで行こうねって約束したからここは張り切るしかない。


実日子さんに早くから着付けを習ってひとりで着たし、髪も巻いてアップにして、気合い充分準備もばっちり。


玄関まで迎えに来た翔ちゃんの和装にホレボレして鼻を伸ばしてたら、私の浴衣姿も可愛いって言ってもらえてもうそれだけで胸がいっぱいになった。


でも家を出て5分もしないうちに足に異変が。


「どーした?」

「いや。なんでも、ない」

「嘘じゃん、ちゃんと言えよ」


いつも見抜かれるんだよね。


「実は足が痛くて……下駄、おろしたばっかりだからかな?」

テンション下がるし、こんなとこでモタモタしてて花火、始まっちゃったらどうしよう。


「脱いで?」

「えっ、何を?」

「下駄に決まってんだろ。ほら貸して?」

「う、うん」