「あ、ありがとうございます……」

女の子はそう言いながら顔を上げる。そして見えた顔に雪は心を奪われてしまいそうになった。

女の子の肌は、まるで雪のように白い。ホクロ一つない綺麗な肌と真っ白な長い髪をしている。目は美しい青だ。

「綺麗……」

女の子を立ち上がらせながら雪が言うと、女の子は「そう言っていただき、とても嬉しく思います」と優雅に頭を下げる。それはまるでお姫様がするような挨拶だった。

「私の名前はクララと申します。もしよろしければ助けていただいたお礼をしたいのですが……」

「お礼って手を差し伸べただけなんだけどな」

冬斗の冷たく聞こえる言葉にも、クララは「いえ、それが嬉しかったのです」と胸に手を当てて微笑む。

「私は、用があってこちらの世界に参りました。でも私の容姿を見て他の人は蔑むような目を向け、誰も助けてはくれませんでした。お二人だけなのです。こうして私を助けてくださったのは……」