「文化祭は、2日間!まず出し物を決めるゾー!1位目指すゾー!」
担任の後藤先生が張り切った口調で話を始める。
「お化け屋敷ー!」
「迷路はー?」
「たこ焼きー!」
「いやそこはお好み焼きだろー!」
「やだー!焼きそばー!」
みんなが楽しそうにはしゃぐ姿に、なんだかほっとする。自然と私は、笑顔になっていた。そんな私に、永斗が微笑んだことには、全く気付いていなかった。
「文化祭の出し物は、多数決で焼きそばに決定だ!きちんと準備するようになー!」
先生は、いつになく本当に張り切っている。
体育会系の後藤先生は負けず嫌い。売り上げ1位を取りたいのだろう。
「つばきちゃーん!作る係と配る係、どっちがいい?」
「どっちでもいいよ!萌子と一緒がいいな!」
文化祭委員は忙しそうに仕事をこなしていた。こんな青春が、私にもあったことが嬉しくて、少しボーっとしてしまった。
「じゃあつばきちゃんと萌子ちゃんは、2人ともウェイトレスお願いします!お洋服はここから選んでください!」
「「了解!」」
「わぁー!かわいいー!メイド服じゃん!絶対つばき似合うね!!」
「かわいいけど私これはちょっと恥ずかしいかなぁ…」
「ええ!なんで!つばきがこれ着てたらお客さんたくさん来て売り上げ1位!間違いない!」
ふいに頭をよぎるのは、広のことだった。
広は、私を見たらどう思うんだろう。
可愛いと思ってくれるのかな。
終わったはずの広との関係。
始まってすらいなかったのに、どこかで途切れたあの糸が、まだ繋がっているなら……
私たちはどうなるのかな。
「ねえ!聞いてる?ふーじーさーか!」
「え!?あ!ごめん!何!?」
「だからー!試合があるんだって!サッカー部の!」
永斗に話しかけられていることにも気付かないくらい、広のことで頭がいっぱいだった自分が恐ろしい。あんなにひどいことをされたはずなのに、あれは本当の広じゃないと心のどこかでまだ思っている。
「試合!?それで!?」
「いやなんかさ、サッカー部のやつらがお前に観に来てほしいって言ってるからー…」
「あー!繋ぎ役頼まれたのね〜永斗は!」
「萌子も一緒に来いよ!」
「来いよって何よ!来てくださいでしょー!」
「はいはい!」
「うん!行く!萌子と2人なら」
「よし!決定!明後日、土曜日にココな!」
「オッケー」
