「あ〜!!見て見て!!つばき!!」
「……わぁ〜!!」
萌子の指差す先には、大きな花火が上がっていた。話に夢中になっていた私たちには、打ち上がる時の音は聞こえていなかった。
今、何人の人が空を見上げているんだろう。
今この瞬間に花火を見ている人は、どんな気持ちなんだろう。
幸せな気持ちで見ている人
悲しい気持ちで見ている人
広は今、どんな気持ちかな
繋がれていた右手を、ぎゅっと丸めた。
「で、萌子は、上条くんと付き合うの?」
「迷ってるの。だって私はさ、まだ上条くんのこと何も知らない。もちろん好きにだってなってないんだよ?」
「……萌子は、上条くんのこと知りたい?上条くんがどんな人で、どんなことを思うのか、何が好きなのか、知りたい?」
「……ぅん……知りたい。ちゃんと知りたいよ。嬉しかったから」
私は、萌子の手を握った。
「萌子、それはもう、好きになってるのと同じだよ。ただの興味だけじゃなくて、ちゃんと知りたいんだもん。それは、恋の始まりだよ、きっと」
「帰り、上条くん待ってるって言ってた……」
それを聞いて、帰りに永斗と会うことを思い出す。忘れていたわけじゃない。広との距離がほんの少し縮まったような気がする嬉しさで、永斗との約束について、考える余裕がなかった。
「じゃあ帰り、上条くんと話しておいでよ。また明日、学校で続き聞かせてね」
「うん……学校じゃなくて、寝る前電話しちゃうかも」
そう言って笑い合った私たちは、また視線を、花火へと送った。
こんなに綺麗な花火を見たのは、今日が初めてだった。
