夏の終わりを感じる少し肌寒い空気の中を、広のあとを着いて歩く。繋がれた右手だけが、じんわり温かい。
もうすぐ、萌子の待つベンチに着く。
「あの、手……繋いでたら萌子がびっくりしちゃう」
「あぁ、ごめん。もうすぐそこだろ?俺は行くから、気をつけろよ」
広の体温が、ほどけた右手に残る。広は人混みの中へと消えていった。
一瞬にして、吹く風が奪っていこうとする広のぬくもりを、逃さないように、私はぎゅっと指を丸めた。
「萌子ー!ごめんごめん!お待たせー!」
「もぉつばき〜!心配したんだよぉ!?」
「ごめ〜ん。ちょっと散歩してたの!それより、どうだった、上条くん」
萌子は、真剣な表情で、話し始めた。
