抱きしめられた後、永斗は何も言わずにテラスを去った。
「今のは……なんだったの……」
独り言を呟き、ジュースを選んで萌子のいる部屋に戻る。
萌子には、言えなかった。
いくら萌子でも、言っていいのか分からなかったからだ。
明日から、どう接したらいいのか。
永斗は今、何を思ってるのかな。
「じゃあつばき!また明日ね〜ん!」
「うん!萌子気をつけて帰ってね〜」
すっかり夜になっていた。
萌子といると、時間が経つのが早い。
空を見上げると、ビルの隙間から、星が見える。歩くたび、見えたり、見えなかったりする星は、人の気持ちのように思えた。
見えたと思ったら、見えなくなる。
見えなくなったと思ったら、突然見える。
そうやって、人は人を振り回しているんじゃないだろうか。
「ただいまぁ〜」
お風呂に入ろう。
この不思議な気持ちを、洗い流してしまおう。
早歩きで、私はお風呂場に向かった。
