キミと、光さす方へ

「目立つのが嫌なの?」


聞くと、松本くんは顔をあげた。


長い前髪の向こうの目が、どんな風にあたしを見ているんだろう。


松本くんは小さく頷く。


「でも、その態度だと余計に目立つんだよ?」


木を隠すためには森が必要だ。


それを教えてあげたかった。


しかし松本くんは左右に首をふる。


「いいんだ、俺は、これで」


言葉を小さく区切って言う。


今日初めて聞いた松本くんの声だった。


あたしたち3人は目を見かわせて頷きあった。


たったこれだけの会話でもちゃんと会話ができたことは進歩だった。


「目立つのが嫌なら、なおさら噂は否定した方がいいよ」


泉が、今度は優しい声で言った。


小さな子供のいたずらをたしなめるような声色だ。


しかし、それに関しては松本くんは左右に首を振った。


「どうして?」


泉がさらに質問をする。


すると松本くんはけだるげに口を開いた。


そして言ったんだ。


「あの噂は……事実だから」