キミと、光さす方へ

☆☆☆

「お前、本当に朝が苦手だなぁ」


呆れた声で言ってきたのは同じクラスの石井勇人(イシイ ユウト)だった。


勇人は背が高く1年生の頃からバスケをしているため女子生徒たちに人気があった。


「まぁね」


あたしは曖昧に答えて苦笑いを浮かべる。


勇人とあたしは2年に上がってから仲良くなったのだけれど、勇人の適当っぷりは目に余るものがある。


さっきだって友達に教科書を借りたまま3日も返し忘れていたようで怒られていたし。


「俺でももっと早く登校してきてんのになぁ」


勇人は両手を頭の後ろで組んでニヤニヤと笑ってあたしを見ている。


「勇人にしては珍しいじゃん」


嫌みを込めて言うと勇人はバスケットボールをシュートするジェスチャーをして見せて「朝連があるからな」と言った。


その様子に勇人は本当にバスケが好きなのだなぁと思う。


バスケのことを話している時の勇人はいつも目が輝いているのだ。


「あたしはそういうのないし」


今度は突っぱねるように言う。


すると勇人は呆れた表情を浮かべた。


「お前な、本気になるものないのかよ」