キミと、光さす方へ

完全に村八分状態だったけれど、幼い俺がなにかをできることもなかった。


ただ寂しくて、その穴を埋めるようにまたイタズラを繰り返す。


それはエスカレートしていき、空き家の窓を割ったり石で車を傷つけたりするようになった。


同時期に、母親は夜の仕事で知り合った危なそうな男を家に連れ込むようになっていた。


男の頬には大きな傷があり、いつも高級そうなスーツを身にまとっている。


時々スマホで誰かと会話しては怖い声で怒鳴っているのを何度も聞いていた。


その時は怖いと感じた。


父親と同じような人間じゃないのかと警戒もした。


でも、その男は俺と母親には優しかった。


家に来る時は必ず手土産をくれたし、殴られたり怒鳴られたりしたことは1度もなかった。


本物の父親よりもずっといい。


この人がお父さんだったらいいのに。


幼いながらにそんな風に考えるようになった。


でも、今ならわかる。


あの男がどうして俺や母親に優しかったのか。


あの男の目的は俺だったのだ。