キミと、光さす方へ

「なんていう子なんだ?」


ゴホンと咳払いをして、お父さんが聞いてきた。


あたしは一旦箸を置いて、2人を見た。


あたしは後ろめたいことなんてしていない。


悪い付き合いだってしていない。


堂々としていればいいのだ。


自分にそう言い聞かせて、笑顔を作った。


「松本くんって言うの」


「松本……」


お父さんが呟き、一瞬怪訝そうな表情を浮かべた。


「そう。何週間か前に転校してきて、まだ友達も少なくて、だから気になっちゃうんだよね」


あたしはできるだけ軽い口調で言った。


「そうか、転校生なのか」


「高校で転校してくるなんて珍しいわね」


お母さんがこちらを気にして言った。


「そうかな?」


あたしは首を傾げて箸を持った。


両親はまだ何か聞きたい様子だったけれど、あたしが口いっぱいにハンバーグを詰め込んだのを見て、結局なにも聞いてこなかったのだった。