キミと、光さす方へ

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駅は学校帰りの高校生や、買い物中の主婦で賑わっていた。


もう少し時間がたてば今度は仕事帰りのサラリーマンが増えてくるのだろう。


賑やかな駅を通り過ぎて勇人と2人で裏手に回る。


こちら側には改札口がないため、閑散としている。


人の往来も少なく、背の低いビルが立ち並ぶ。


そのビルも三分の一ほどは無人状態で、若いカップルが勝手に入りこんでホテル代わりにしているという噂があった。


そのビルの最奥に、灰色の建物は立っていた。


「ここが噂の……」


あたしはそう呟いてビルの前で立ち止まった。


噂では聞いたことがあったけれど、実際にここまで来たのは初めてだった。


ビルの横には駐車場があり、黒塗りの高そうな車が並んでいる。


勇人は腕組みをしてそのビルを見上げていた。


「どうするの?」


「誰かが出てくるのを待とう」


勇人はそう言うと、向かい側にあるコンビニへと進んだ。


あたしは慌ててその後を追いかける。


さすがにビルの中に突撃することはないようで、内心ホッとした。