キミと、光さす方へ

一体どうしたんだろう?


なにかあったのだということはひと目でわかった。


息を殺してみていると、複数の男子たちの後ろから松本くんが姿を見せたのだ。


思わず声を上げそうになり、両手で口をふさぐ。


松本くんは後ろから押されてその場によろめいた。


男子生徒たちは躊躇することなく松本くんを取り囲んだ。


あの日、放課後に中庭で見た光景がよみがえってきた。


まさか……。


嫌な予感は的中し、最初に田中くんが松本くんに唾を吐きかけた。


「お前、チクっただろ」


松本くんはなにも言わない。


「人殺しのくせに、人に暴力振るわれたくらいでセンコーにチクるのかよ」


誰かの言葉にあたしは息を飲んだ。


あの日、先生を呼んできたのはあたしだ。


それを松本くんは知っているはずなのに、何も言わずに黙っている。


本当のことを説明しないと、これからまた暴力を振るわれるとわかっているはずなのに!


「なんとか言えよ!」


田中くんの拳が松本くんの腹部に直撃した。


ドスッと鈍い音が聞こえてきて、松本くんはそのまま膝をついた。


それを待っていたかのように他の男子たちが拳を握り締める。


このままじゃまずい!