キミと、光さす方へ

自分自身に言い聞かせて、鼻歌を口ずさみ始めた。


最近デビューしたばかりのアイドルの曲だ。


デビュー前から何度もテレビ出演していて、みんな注目している6人組の女性グループ。


有名なプロドューサーが手掛けているので、世界的にも注目されているらしい。


その、ポップでキュートな音楽を思い出すと、自然と元気が出てきた。


大丈夫。


もう怖くない。


心音は徐々に静かになる。


落ち付いてきて、呼吸も元通りだ。


そうだ。


どうせここには誰もこないのだから、スマホで音楽を聴いてしまおう。


そう思ってスカートのポケットからスマホを取り出したその時だった。


複数の足音がこちらへ近づいてくるのが聞こえてきて、あたしは自然と立ちあがっていた。


さっき使ったホースはちゃんと片付けてあるし、誰が来ても怒られることはない。


そう思っていても、なんとなく嫌な雰囲気を感じて物置の陰に身を隠した。


この物置には園芸用具が入れられている。


身を隠してすぐに現れたのは2年生の男子たちだった。


その中には田中くんの姿もある。


みんな険しい表情をして花壇の前で足を止めた。