しばらく横で見守っていると、すやすやと寝息が聞こえてきた。そこには無防備に眠る彼の姿。近くでみると改めてかっこよさを思い知る。熱に浮かされた赤い頬すらも色っぽくて素敵だった。

今のうちに起きた時に食べれる軽いものを作ろうと思い立つと、


「あいり…まって」


と苦しそうな声が聞こえる。私の腕は彼の大きな手で掴まれていた。


「どした?苦しい?」


私が言うと彼は私の耳元で


「1人にしないでよ」


と小さく囁く。いつもとは少し違う、掠れて低い鼻声が私の心をくすぶる。相手は病人だから…。私は冷静に答える。


「でも壱斗が起きたら薬飲めるように何か食べれるもの作らなきゃ。少しだけ待ってて?」


そう言うと、


「お願い…ここにいて」


潤んだ瞳で真っ直ぐと見つめられる。
いつもとは違う、妖艶な色気。私だって、女の子だよ…?そんな気持ちを押し殺して



「わかった、もう少しだけね」

そう言って彼の傍に戻った。
私の理性はぶっ飛びそうだった。今日はいつもと違う彼にドキドキしっぱなしで、頭がおかしくなりそうだった。



数分後には彼は気持ちよさそうな顔をして完全に寝付いたみたいだ。彼に気が付かれないようにそっとそばを離れ、私は薬とお粥を作るためにリビングへ向かった。