真っ暗な暗闇とは対照的に、空を見上げれば眩しいくらいの月が輝いている。




黄金色をした月は、地上を照らすように輝いていて、その月明かりはある場所を照らすように光を降り注いでいた。




人通りの少ない道。



細々と建つ電信柱に設置されてある小さな光が
゛チカチカ゛と光っている。





まるで未知ともいえる場所から、何やら苦しく荒い声が聞こえてきた。




それにあうようなせわしい足音が響いてきた。








「はぁ、はぁ、はぁ、、、誰か、誰か、誰か助けて!!」



息がとぎれ、とぎれになりながらも必死になって叫ぶ声が聞こえてくる。



叫びすぎたせいか、すでに声は掠れていて細々しくなっている。




誰かからか逃げるように必死になって走る人影。



その後ろからはまるで楽しむように、逃げる人影のあとを歩いていた。



「……………どうして??どうして誰もいないの?普段は人通りが多い場所なのよ。どうなっているの。」


パニックになりながら走る人影は一生懸命に辺りを見渡す。



あるのは、真っ暗な暗い道と電信柱に設置されてある小さな光だけ。



その風景に顔を引き攣らせる。




「なんなんなのよ!!とにかく逃げなきゃ。
アイツが来る。」


体力は既に限界を超えていて足はふらついている。



なんとか走ろうとした時、力尽きてしまったのか足が縺れて転んでしまう。



ドテーンと派手に転んだ人影に、あとから歩いてきた者は動きを止めた。






【………………遊びは終わりかな、お嬢さん?】


見下ろしながら低い声を出す者に、倒れた女性は思わず両手で身体を庇っている。



「誰なのよ、貴方!!」

震えながらも声を出す女性に見下ろしながら見ていた者は、ふっと唇を歪めた。