久しぶりに現れたその人は、小さい頃から見た
記憶の姿からは全然変わっていなかった。




真っ暗な闇なのに、空に浮かぶ満月の光がやけに眩しくて、その人をまるで照らすように光っている。




例えるなら天井に照明器具があって、その人の為だけに光を当てているようだ。




明かりを照らされたその人は、私からしたら絶対に触れてはいけない。


気軽に話しかけたりしてもいけない。



まして、声なんてかける事も。


まるで芸能人みたいだ。



けど芸能人じゃない。




傍から見たら完璧すぎるくらいに綺麗だけど。



でも、その人は゛人間じゃないから゙



静かすぎる空間に、ふと柔らかい風が吹いてきた。



すると、その人は小さく笑う。



その姿はあまりにも綺麗で、思わず見惚れてしまう。




小さい頃から変わらない姿に、胸が痛むのは気のせいだろう。



何故なら、今はあまりにも冷たい目で私を見ている。




コツコツと足音を鳴らして近づいてくると。




“………………………俺と一緒に来るか?それとも別を取るか。決めるのは君次第だ。〝



更に冷たい声で私の名前を呼んだ。