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人はどんどん増えて、周りの気温も気分も上がってきているお祭り会場

「先輩!あれ、買ってきていいですか?」

「一緒に行くから、離れるな」

これは、デレ期なわけではなくて、さっき先輩の手をうっかり離してしまったときにそのままはぐれてしまって大変だったから

先輩は、女の子に囲まれて、心底うんざりしていたところを私が保護した


「あまー」

「よくそんなの食べるよね」


私が食べているのは、光に照らされて赤い飴がキラキラ光るりんご飴

小さい頃から大好き

りんご飴を頬張る私の事を珍しいものを見る目で見てくる

「えー、美味しいのになあ」

先輩と共感出来ない悲しさ、いや、共感出来る事の方が少ないんだけどね?

次はなに食べようかなー、溶けてきた飴をチビチビ噛っていたら、

「一口」

「え?」

「早く」


上から聞こえた、静かな声、声と同様に落ち着いている顔

えっと、先輩の綺麗な顔が近付いてくるんですが…

食べさせろってことですか?

口を開けて待っている先輩

あー、写真撮りたい、この口開けてる所が色っぽい人なんて中々いないと思う…

いいよね、これ別にいいよね!

飴だからっ、甘くない!全然!

自分の中でよくわからない、自己解決をして、そっと先輩の口元に飴を持っていく

食べにくかったからか、私の手首にそっと触れて、飴の角度を変える先輩

手首ごと食べてほしい…じゃなくて!

溶けかけていたりんご飴は案外すぐに噛れたみたいでカリカリと口の中で飴を転がしている様子

可愛い…自分でもよくわからずゴクリと唾を飲み込んでしまう

「お、美味しいですか」

「…甘い」

チラリとこちらを横目で見ながら、ペロッと口元を指でなぞる姿

ああ、もう周りの人も釘付けですよ

溢れでる色気が…

「もう、全部あげるんで、色気もっとください!」

「何言ってるの…」
心底引いた目でみないでほしい…


結果、りんご飴をもっと好きになりました