神社に近付くにつれて、どんどん人で賑わってきた

お祭りの雰囲気に包まれて私もワクワクしてたんだけど…

徐々に募る不安


先輩、来てくれるよね?今さらなんだか、不安になってきたよ

でも、先輩から連絡くれたんだし、さすがに忘れるなんてことは…

来なかった時は一人で楽しんじゃおう、うん


自問自答しながら歩く


もうすぐ、砦だなぁ、…ん?なんだか、一際賑やかだな、よく見ると女の子ばかり

誰か有名な芸能人がいたのかな?


気になって、その中心に向かって進んでみると


「え、先輩?」


人集りの輪の中心、黒色の着物をかっこよく着こなして、不機嫌に腕を組んで周りの女の子達を威嚇している九条先輩がいた


「先輩!もう来てくれてたんですか?」

このままでは、学校の様に女の子達に暴言を吐き散らかしそうな勢いの先輩に慌てて近寄る

先輩も私に気づいて輪を抜け出して来てくれた


私が遅れちゃってたかな?でもまだ、10分は待ち合わせまで時間があるのに、


「遅い」

「す、すみません」


じっと、私を見つめたまま固まる先輩


浴衣…変だったかな?


「ね、あの子が彼女かな」

「えー、じゃあ、勝ち目ないなあ、だって
 すごくかわいいもん」

周りはさっきまで先輩を囲んでいた女の子達がこちらをチラチラ見てくる

先輩も私を見たまま何も言わないし…一人で恥ずかしくなってくる


そんなに似合わなかったかな…


頑張って着たんだけどなあ

しょんぼりしていると



「…ん、いいんじゃない」


「へ?」



「ほら、行くよ」



そのまま、お祭り会場に入っていく先輩


な、何て言ったのか聞こえなかった…

はっきり似合ってるて言ってくれないのが先輩だよなあ


でも、来てくれた

立ち止まったままの私を少し遠くで待ってくれている先輩

今目の前にいるだけで自然と笑顔になる

まだまだ明るいお祭り会場


今日はたくさん楽しもう


私は小走りで先輩に近づいた