「だけど、俺は羽華にそばにいてほしい」

最後にそう言って私の手を離した

それが少し寂しくて

だけどそれは、俺から離れてもいいよって意味だって分かったから

それが、先輩の優しさだから

「先輩、そんなにおしゃべりでしたか?」

少しだけ意地悪を言ってみた

そしたら、先輩も困ったように笑ってくれる

「離れろって言っても、そばにいますから、
 先輩が幸せになれるまで!」

今度こそそれが、私の片想いが終わるとき

本当に先輩が幸せになるそのときまで


「…ごめんな」


だから、そんな風に笑わないで?

今度こそ覚悟を決めますから



夕焼けが深くなり始めた時


私はもう一度先輩の手をしっかり握った