しばらく静寂に包まれてしまう

気づけば辺りはオレンジ色になっていて、どれだけ先輩を探すのに時間が掛かってしまったんだろうとぼんやり考える


握っていた先輩の手が静かに離れる



「……俺は羽華の告白に答えられないっ」

ぎゅっと目を瞑り、片方の手を頭に持っていき
くしゃっと髪の毛を触る

そんな姿でさえも、一つ一つがかっこいいと思ってしまう

「…はい」

声がかすれてしまう

それっきりまた、黙ってしまった先輩

「でも」

これで終わりなのかもしれないと思い、離れようと思った時、そっと私の手を掴む、大きくて暖かな手


「言い訳、するなら、俺は春と付き合ってない、この間は羽華を傷つけるためにわざと嘘ついた……ごめん」

なんで、


そんな嘘を?


「羽華が、何度も告白してくれても、俺はその想いにこたえることは出来ない、羽華じゃなくても、今は誰とも付き合うつもりはない」



じっと、真っ直ぐな目を私に向けてくれる

「だから、俺の事なんて忘れてほしかったんだ」

そんな…


「そんなことっ、出来るわけないじゃないですかっ」

「…うん」

私の手を包み込む先輩の力が強くなる



「私はっ、これからも、先輩に告白しますよ、だって先輩以外に好きな人なんて出来る気がしませんもん、…少なくとも今は!」


にっと笑って見せる


先輩がどうして誰とも付き合わないのか

まだ、何を隠しているのか

話したくないなら、聞いたりはしない


だから





「先輩は、どうしたいですか、これから?」




「……羽華に、そばにいてほしい」






思いがけていなくて




一瞬戸惑ってしまう






「最低だってことは分かってる、俺のことが好きって知ってて、利用しようとしてる、想いにも応えてやれないのにっ」


それでも先輩は真っ直ぐにこちらを見てくれる


とても苦しそうな目で