突然視界が少し暗くなったかと思うと、手に持っていた携帯が無くなった
「!!!」
「何してんの」
上を見上げると、先ほどまでの天使はいなくて…変わりにいつも以上に怖い顔をした先輩が…
起きてた!?
不機嫌な顔で私のスマホを取った先輩
「あの!返してください!」
「なんで?………おいこれ…」
画面を見て、固まる先輩
み、見られた
フォルダは全部先輩の写真……ざっと200枚は、入っている
「えっと…そのぉ」
「この上から撮られてるのってさ」
「屋上からです!先輩の髪の毛、太陽に照らされて、天使の輪っか出来てるんですよ!」
「……」
特に今日撮れた写真は、ちょうど視線が上に向いていて、カメラ目線みたくなってて、いい感じに…
ピッピッ ピッ
ん?何の音?
「全部消しといたから」
「え」
「はい」
ほ、ほんとに全部消えてる…
だけどもだけど、
「これ、復元できるんで安心してください!」
「…はぁ」
ため息!?
私の横に力無く座って、足に顔を埋めて髪の毛を掻いている
何か気に入らないことでもあったかな?
「あと!これ!ロック画面、先輩が珍しく体育にでてる時の写真です!」
「…は?」
窓の外を見たら、先輩が珍しく体育に出てたから、先生にバレないようにこっそり撮ったんだまさに奇跡の一枚!
「いいですよね?すっごくよく撮れてると思うんです」
「消せ、やめて」
「えー、無理ですよっ」
「貸して」
「嫌ですっ」
「…ふーん」
私の手からまた、携帯を取ろうとしてくる
両方の手首を掴まれて、体が向かい合う姿勢になる
正面に先輩の顔
無表情だけど、どこか不機嫌そうにこちらを見つめている
私も負けじと睨み返す
これだけは消されたら困る!
先輩から離れようとした、その時
グイッ

