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「羽華!」

朝、生徒玄関に着くと

樹先輩が待っていてくれた

「先輩!昨日は置いて行ってしまってごめんなさいっ」


本当に最悪だよ

あんな、よくわからない雰囲気のところに

一人で置いてきてしまって…

「それは、大丈夫だよ、羽華こそ…」

「私も!大丈夫ですよ」

「ほんとに?」


先輩は、本当に心配してくれているみたいで
険しい顔をしている

つくづく申し訳ない


「今日、ちゃんと話そうと思って」


「……そっか」


じゃあ、といって、教室に行こうと思ったんだけど

「あのさ、余計な事かもなんどけどさ、」


先輩は、髪をさわりながら言いにくそうに
話してくれた

「昨日、羽華が帰ってから、本当は九条、すぐに追いかけようとしてたんだよ、だけど月野が、『あの子、なんだね、知ってたけど』つって、九条のこと、引き止めたんだよ」

私はただ聞いていることしか出来なかった

「そしたら、九条、『お前には関係ない』て
 すげー怖い声で言って、月野置いて帰った
 んだよ」


「え?」


帰った?

彼女かもしれない人を?


結構あの時暗かったんだけど…


「俺も良くわかんないけどさ、あいつの言い訳聞いてやってもいいと思ってさ」

「ありがとうございます…」