「美術部だったんだ」

「…あれ?言ってませんでした?」

「うん」

続く沈黙、先輩のゆっくりした鼓動がすぐ傍で聞こえる以外、周りは静か


「あの、苦しいです…」

「うん」

「先輩?」

もうずっと、抱き締められたまま

ううっ、さすがに心臓が…

「先輩、そろそろ…ひゃあっ」

いきなり首に顔を埋めてくるから、くすぐったいっ

「せ、先輩っ、うぅ、やぁ…」

先輩の背中を叩いて抵抗してみるけれど、力が強くて離れられない

先輩の唇が首に触れて、そのまま耳まで来る

そして、


「羽華が悪いんだよ?」

そう耳元で囁いて耳を噛まれた


呟かれた耳が暑い

「うぅ、……ご、ごめんなさいっ?」

頭がフアフアしてきて、咄嗟にポツリと呟くと

先輩はゆっくり離れていって、腕は私の腰に回される

私よりずっと背の高い先輩は、いつもの無表情で私を見下ろして、

「次からは、もっとすごいのするから」

ニヤリと意地悪な顔で呟く

も、もっとすごいのってなんですか!?
もう十分すぎますよ!


真っ赤になってアワアワしてたら

「まだ、足りない?」

なんて、頬に優しく触れながら言うもんだから、

「…痛い」

思い切り叩いてあげました